両手を伸ばして





登場人物・・・飛鳥(あすか)、智章(ともあき)






君が伸ばした腕が
俺の首にかかる


つ、ついにキス……!?


「いたたた!!」
「隙ありヘッドロック!! まいったか〜!」
楽しそうに笑う俺の彼女。
苦しむ俺。
「ギブ!! ギブ〜!!」

手で床を叩き、何度ギブと言ってもなかなか止めてくれない。

格闘技好きの彼女、飛鳥。


「ねーねー、新技かけていい?」
「勘弁してください」

繰り返されるのは格闘技の話ばかり。
ちょっといい雰囲気になってキスでもしようと思っても、
すかさず技をかけてくる飛鳥。

色気もくそもねぇ。

だけど、こうやって目を輝かせてすきなことを語る女も悪くは無い。
……格闘技って、密着するし。

だからと言ってこんな色気のないままこの先やっていくつもりもない。

「飛鳥、ちょっと女らしくサ、格闘技から離れてみない?」
飛鳥は顔をしかめ、
「は?智章、格闘技嫌いだっけ?」
と、口を歪ませて言った。
「いや、そんなことは……」
「ならいいじゃん。何を言い出すのかと思ったら」
そう言うと、さっきから一人で練習している新技とやらの練習を続ける飛鳥。
ああ、この技が完成してしまったら……俺は死ぬ。

こうやっていつも俺は飛鳥には勝てない。
せめて一瞬でもいいから、頭を俺でいっぱいにしてくれないものか


「飛鳥ぁ」
練習に夢中の彼女の意識をこちらに向けるのは容易ではない。
今回も返事をするまで、30秒ほどかかった。
「何」
「ちょいちょい」
俺はそう言って手招きをする。
飛鳥はめんどくさそうに「えー」と言い、
なんだよ、などと文句をいいながらこっちに向かってくる。
そして、俺の隣にちょこんと座った。
こうしてみると、かわいい女のコなんだけどなぁ・・・

「飛鳥、キスしよ」

ムードでダメなら、言葉攻めだ。

「飛鳥?」

『キス』という単語を出した瞬間からずっと、飛鳥の動きが止まっている。
そして突然俺の方を向いたかと思うと、今までに見たことのない
真っ赤に染め上げられた頬に手を当てながら、

「智章……もしかして、ずっとしたかった?」

と、伏目がちに言った。

俺は予想だにしない質問に、考える余裕もなく「う、うん」と頷いていた。

「あ、あすか……?」

飛鳥が変だ。
か…かわいい……

「あ…の、あたしさ、こうゆうの初めてで…どうしていいのかわかんなくて……」

そうか
だから、いい雰囲気になっても……

「…飛鳥は、したい?」
「……うん」

やばい。こんなにドキドキするなんて。想定外だ。

 

この手で 君を捕まえることができるのが嬉しくて

 

離したくない。俺だけのものにしたい。

 

俺の意志を悟ったのか、飛鳥の腕が俺の首に絡まってきた。

 

二人で掴もう 両手を伸ばして

 

君の未来も 俺の未来も














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作品提供@空頼月和さま